旅立ち

ー親愛なるA氏に捧ぐ


それ故に人はまず橋を架けた。光と暗黒との間に。
ーー橋は私達の最も古い故郷であった。
それ故に橋は私達を魅了して止まない。
むしろ私達の本質が二つの世界にまたがる橋であった。

架橋の上に立つ事。ー 道程の半途に立つことは、詩人の運命であり、最も古い故郷であった。故に私達は出発に対して、旅路に立つことに最も深い郷愁を感じる。

ーーーーーー

始め喪失の悲しみがあって、音楽が生まれた。天使も又悲しみ故に生まれに相違ない。巨大な悲しみがあって巨大な讃歌が生まれた。

悲しみのない所、天使は存在しない。 ー 音楽もまた。ーー

真の知と愛とは眠りの中にも成育する。
真に愛するとき、それは死の中にも成育する。

芳賀檀   アテネの悲歌より




古来より輝く永遠の山脈。
永劫を告げる群青の氷河。
全ては想像を絶する自然の峻厳と、法則の美を語っていた。
それはまた、突然の喪失こそ、永遠への飛翔であることを教えていた。

全て断絶と別離とは、世界の高峰に通ずる法則であった。
極限に咲く花と、永劫の星座の美であった。

生の中に死あり、死の中に生あり。

ああ、生は、なんという驚きと悲しみに満ちていることだろう。
そして、なんという不滅の存在であることだろう。
青春を生を告げる若葉は死を免れ得ない。だがそれは、新たな出発と、再生への旅立ちへの啓示。
死は又、贈与と捨身への意志の体現。
愛なくして死はないという。
恋人達の眼差しは、この世に死という、新たな生の出発を贈与したのだ。

世界は生命の豊穣に満ち満ちている。
何処にも無はなく、存在(ザイン)の奇跡に溢れている。
絶対無とは、幼稚な観念の遊戯にすぎない。
故に、愛は、死を越えて死者を抱擁するだろう。
心は宇宙を包容するだろう。

schale


私達は、常に存在の奇跡に驚き、生命の不思議に魅了されながら生きています。そして出会いと別離の悲しみを、深く胸に刻みつつ生きています。
恋人達の眼差しほど、そのことを率直に深く語るものはありません。

人間の真実の愛と信頼が、死をも越えて永遠の力であることを自覚する時、友情こそ生命の本質であることを知るとき、あらゆる人生の苦境に立ち向かう絶対の力を、人間が得ることを感じてなりません。
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Photo Schale
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by schale21 | 2007-07-02 06:40 | 詩と文学 | Comments(10)
Commented by Capucci-mm at 2007-07-02 08:52
お久しぶりです!最後の写真・・・圧巻ですね(^o^)
Commented by ありゃいん at 2007-07-09 22:10 x
A氏?

一瞬考えてしまいました^^

スイスでの出会い、あっという間のお別れでした。
でもそれ故、次回への気持ちが高まります、、、スイスへ、雪景色を見に行きます。

必ず。
Commented by schale21 at 2007-07-10 07:19
カプチさん、いつも速攻のコメントに対し御礼遅くなりすみません。とにかく忙しくて。笑
最後のは実は4年近く前、10Dで撮ったものです。
あまり人のいかない山奥の10月下旬頃の光景です。
Commented by schale21 at 2007-07-10 07:22
ありゃいんさん、奥様共々ほんとにいい思い出になりました。空港までご一緒すればよかったと後悔しましたが、それではあまりにお邪魔ですね。笑

冬、いいですよ。夏より晴天率高いし。僕も休暇取れるし。笑
心待ちにしてます。
Commented by ありゃいん at 2007-07-17 06:43 x
晴天率が高いってところが良いですね!
空気も透明感があるでしょうから、良い冬山の写真が撮れるかもしれません~。

案外雪は少ないと聞きましたが、冬もユングフラウ・ヨッホは行けるのでしょうか?
Commented by schale21 at 2007-07-19 06:09
遠景の風景に限っていえば、秋、冬が透明感があっていい時期です。

ヨッホは通年営業です。スキーの合間に行けますよ。雪は昨年少なかったので、来年は期待してるのですが。
ツェルマット地方は乾燥地域の上、下地が岩で雪が2mはないと滑りにくいのです。あのあたりは2月、3月がベストですが、村内では宿はまず取れないでしょう。
宿が取りやすいのはなんといっても1月。日が短く、雪も心配ですが、夕景のいい写真が狙いやすいですし。
Commented by kojiro-net at 2007-07-25 18:46
スイス、是非行ってみたいです。
今年は、スキーも復活したいー
冬山はちょっと考え中ですが・・・でもアルプスのミックス壁は憧れです。
3枚目、頂上へのラインが美しいですね。
Commented by schale21 at 2007-07-31 23:34
こじろうさん、ご無沙汰してます。時間は取りやすくなったのでしょうか。いちど是非来てくださいよ。
冬もお待ちしてます。
Commented by KG at 2007-08-05 14:29 x
良い文書くなぁ~、ちょっと心が和んだ。
Commented by schale21 at 2007-08-07 11:06
人生にはいろいろなことがありますからね。笑
考えてみればつらいことばかりでしたが、全て思い出になれば美しく思えるのが不思議です。


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