2007年 07月 02日 ( 1 )

旅立ち

ー親愛なるA氏に捧ぐ


それ故に人はまず橋を架けた。光と暗黒との間に。
ーー橋は私達の最も古い故郷であった。
それ故に橋は私達を魅了して止まない。
むしろ私達の本質が二つの世界にまたがる橋であった。

架橋の上に立つ事。ー 道程の半途に立つことは、詩人の運命であり、最も古い故郷であった。故に私達は出発に対して、旅路に立つことに最も深い郷愁を感じる。

ーーーーーー

始め喪失の悲しみがあって、音楽が生まれた。天使も又悲しみ故に生まれに相違ない。巨大な悲しみがあって巨大な讃歌が生まれた。

悲しみのない所、天使は存在しない。 ー 音楽もまた。ーー

真の知と愛とは眠りの中にも成育する。
真に愛するとき、それは死の中にも成育する。

芳賀檀   アテネの悲歌より




古来より輝く永遠の山脈。
永劫を告げる群青の氷河。
全ては想像を絶する自然の峻厳と、法則の美を語っていた。
それはまた、突然の喪失こそ、永遠への飛翔であることを教えていた。

全て断絶と別離とは、世界の高峰に通ずる法則であった。
極限に咲く花と、永劫の星座の美であった。

生の中に死あり、死の中に生あり。

ああ、生は、なんという驚きと悲しみに満ちていることだろう。
そして、なんという不滅の存在であることだろう。
青春を生を告げる若葉は死を免れ得ない。だがそれは、新たな出発と、再生への旅立ちへの啓示。
死は又、贈与と捨身への意志の体現。
愛なくして死はないという。
恋人達の眼差しは、この世に死という、新たな生の出発を贈与したのだ。

世界は生命の豊穣に満ち満ちている。
何処にも無はなく、存在(ザイン)の奇跡に溢れている。
絶対無とは、幼稚な観念の遊戯にすぎない。
故に、愛は、死を越えて死者を抱擁するだろう。
心は宇宙を包容するだろう。

schale


私達は、常に存在の奇跡に驚き、生命の不思議に魅了されながら生きています。そして出会いと別離の悲しみを、深く胸に刻みつつ生きています。
恋人達の眼差しほど、そのことを率直に深く語るものはありません。

人間の真実の愛と信頼が、死をも越えて永遠の力であることを自覚する時、友情こそ生命の本質であることを知るとき、あらゆる人生の苦境に立ち向かう絶対の力を、人間が得ることを感じてなりません。
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Photo Schale
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by schale21 | 2007-07-02 06:40 | 詩と文学 | Comments(10)